2007年12月21日金曜日

存在しない遠心力

潮汐が一日に2回生じることの説明として、月の側には月の引力が作用し、その反対側には遠心力が作用してそれぞれ満潮になると説明されている。遠心力とは回転によって生じる見かけ上の力である。
地球が自転しながら太陽の周りを公転していることは公知の事実である。しかし太陽系内において、地球はそれ以外の回転運動をしているわけではない。上記の遠心力は月が地球の周りを公転することによって地球が回転し、それによって生じると説明されるが、これは間違いである。月が地球の周りを公転することは、月から見れば地球が回転しているように見えるので、相対的には地球が回転しているとも表現できるが、実際に地球が月の周を回転したり、或いはその共通重心の回りを回転しているのでもない。太陽が地球の周りを回っているように見えても、実際には地球が回転しているのであって、太陽が回転しているわけではないのと同じである。従って、月が地球の周りを公転することで地球に遠心力が生じることはないのである。中世以前の間違いを未だに繰り返している事に気付く必要がある。
こうした説明とは裏腹に、実際には月の側とその反対側には干潮が生じている。月に2回生じる大潮の場合、すなわち新月と満月の時期には地球と月と太陽がほぼ一列になっており、月と太陽が南中する正午と、その反対側(午前零時)において干潮になっているのである。(参考http://www.saltwater.jp/tide/) 従って、遠心力によって月とは反対側に満潮が生じるという説明は現実と正反対であり、根本的に矛盾していることになる。
余談ながら、遠心力の大きさは角加速度の大きさによって決まるものであり、角加速度が1ラジアン(約6秒で1回転)を下回るとその2乗に比例して小さくなるのである。従って、約27日で一回転する月の公転速度によって地球に遠心力が発生すると仮定しても、それは無視できるほどに小さいものとなる。軽く絞ったタオルの水分を遠心力で飛ばそうとするには少なくとも一分間に数十回転させなければならない。脱水機であれば1分間に数百回転が必要となる。27日で1回転(1分間に0.000026回転)では、いくら回転半径が大きくても遠心力はほとんど発生しなくなる。
月とは反対側の海水が遠心力によって持ち上げられるという説明は、二重にも三重にも間違っているのである。

2007年12月19日水曜日

月の引力で海水が持ち上がるか

月や太陽の引力によって海水が持ち上げられて満潮や干潮が生じるという説明が広く一般に受け入れられ、常識となっている。
感覚的には理解しやすい理屈のようではあるが、科学的には明らかな間違いである。確かに月の引力が海水にも影響を及ぼしていることは事実であるが、そうした説明の中では必ず地球の引力のことが見落とされている。海水は常に地球の引力を受け、少しでも低いところへ流れ込もうとしていることを無視してはならない。月の引力が海水に作用しても、それは海水に対する地球の引力の影響がほんの少し小さくなるだけの事であって、それによって海水が持ち上がる事は決して生じない。そのことは仮に月の引力が2倍になっても10倍になっても同じである。海水に対する地球の引力、すなわち海水の重力よりも大きな力が作用しない限り、低いところへ流れようとする海水を逆方向へ持ち上げる事は不可能なのである。月の引力は確かに地球の引力と反対方向に作用するので、地球の引力の影響ががその分小さくなることは事実だが、地球の引力よりも大きな力が作用しない限り、海水は地球の低いところへ引き付けられたままであり、そして月はいくらがんばっても地球の引力には勝てないのである。もしも月の引力によって海水が1mmでも持ち上がるなら、それは月の引力が地球の引力に勝ったことを意味し、もはや海水を留める力はなくなり、そのまま月にまで昇っていくことになるだろう。
これは極めて平易な理屈なのだが、潮汐に関して一般に常識となっている説明を先に聞かされた人にはなかなか理解できないようである。それらの人は潮汐の間違ったメカニズムを教えられて、それを信じているため、それと異なる説明に対しては思考力を閉ざしてしまうのかもしれない。そのような人はその常識に基づいて、月の方向に満潮が生じると思い込んでいるようだが、実際には(特に大潮の場合)月の方向には干潮が生じるのである。これに対しては「海水が流れるのに約6時間かかる」という説明もあるが、これは理屈を合わせるためのこじつけにすぎない。潮汐は海水の波動として伝わるのであって、海水の移動で伝わるのではない。(但し瀬戸内海などの潮流が生じるところは異なる。)また月の引力は月が南中して初めて発生するのではなく、その6時間も前から徐々に増加しているのである。そしてその増加に伴って潮が引いていくのが現実なのである。
また潮汐が日に2回生じる事についても、その常識を擁護しようとして、ありもしない「遠心力」なるものを持ち出して理屈を合わせようとしている。しかし、潮汐の本当のメカニズムを理解すれば、月の方向に干潮が生じる理由も、日に2回満ち引きが生じる理由も、明快に理解できるのである。その本当のメカニズムは邱国寧博士が下記のURLに明らかにしている。
http://members.aol.com/guoningqiu/