2007年12月19日水曜日

月の引力で海水が持ち上がるか

月や太陽の引力によって海水が持ち上げられて満潮や干潮が生じるという説明が広く一般に受け入れられ、常識となっている。
感覚的には理解しやすい理屈のようではあるが、科学的には明らかな間違いである。確かに月の引力が海水にも影響を及ぼしていることは事実であるが、そうした説明の中では必ず地球の引力のことが見落とされている。海水は常に地球の引力を受け、少しでも低いところへ流れ込もうとしていることを無視してはならない。月の引力が海水に作用しても、それは海水に対する地球の引力の影響がほんの少し小さくなるだけの事であって、それによって海水が持ち上がる事は決して生じない。そのことは仮に月の引力が2倍になっても10倍になっても同じである。海水に対する地球の引力、すなわち海水の重力よりも大きな力が作用しない限り、低いところへ流れようとする海水を逆方向へ持ち上げる事は不可能なのである。月の引力は確かに地球の引力と反対方向に作用するので、地球の引力の影響ががその分小さくなることは事実だが、地球の引力よりも大きな力が作用しない限り、海水は地球の低いところへ引き付けられたままであり、そして月はいくらがんばっても地球の引力には勝てないのである。もしも月の引力によって海水が1mmでも持ち上がるなら、それは月の引力が地球の引力に勝ったことを意味し、もはや海水を留める力はなくなり、そのまま月にまで昇っていくことになるだろう。
これは極めて平易な理屈なのだが、潮汐に関して一般に常識となっている説明を先に聞かされた人にはなかなか理解できないようである。それらの人は潮汐の間違ったメカニズムを教えられて、それを信じているため、それと異なる説明に対しては思考力を閉ざしてしまうのかもしれない。そのような人はその常識に基づいて、月の方向に満潮が生じると思い込んでいるようだが、実際には(特に大潮の場合)月の方向には干潮が生じるのである。これに対しては「海水が流れるのに約6時間かかる」という説明もあるが、これは理屈を合わせるためのこじつけにすぎない。潮汐は海水の波動として伝わるのであって、海水の移動で伝わるのではない。(但し瀬戸内海などの潮流が生じるところは異なる。)また月の引力は月が南中して初めて発生するのではなく、その6時間も前から徐々に増加しているのである。そしてその増加に伴って潮が引いていくのが現実なのである。
また潮汐が日に2回生じる事についても、その常識を擁護しようとして、ありもしない「遠心力」なるものを持ち出して理屈を合わせようとしている。しかし、潮汐の本当のメカニズムを理解すれば、月の方向に干潮が生じる理由も、日に2回満ち引きが生じる理由も、明快に理解できるのである。その本当のメカニズムは邱国寧博士が下記のURLに明らかにしている。
http://members.aol.com/guoningqiu/

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