2007年11月23日金曜日

満潮と干潮が一日二回あるのはどうしてか

海水が月の引力に引き寄せられて満潮が生じるのであれば、満潮と干潮が一日二回あるのはどうしてか。この疑問に対する常識的な解答の多くは、「月側には月の引力が働き、反対側には月の公転による遠心力が働くから」と言うものです。
地球が自転しながら太陽の周りを公転していることは公知の事実です。そして地球はそれら以外の回転運動はしていません。多くの常識者が説明しているように、月の公転に伴って地球が幾らか月の方向に引き寄せられるかも知れませんが、それは地球の公転軌道が多少振れるだけのことであり、地球が月に対して回転している訳ではありません。その振れによって地球に遠心力が生じるとすれば、それは地球上のどの地点でも同じ値となります。一般に説明されているように、地球の月側と反対側で異なることはあり得ません。

この常識となっている説明にはさらに大きな欠点があります。
地球上では地球の回転による遠心力は赤道上で最大であり、極地方ではゼロになります。しかし極地域から赤道上に移動しても遠心力の差は実感できません。なぜなら地球の引力に比べて自転による遠心力は極めて小さいからです。いくら回転半径が大きくても、遠心力は角速度の二乗に比例しますから、回転速度が遅いと遠心力はほとんど働かないのです。地球の回転速度は一日一回転です。時計の短針のさらに半分の速度で自転しています。これを理解した上で、月とは反対側に満ち潮が生じる理由とされている「月の公転によって地球上に生じる遠心力」について考えてみてください。その公転速度は一回転するのに約27日です。この時の遠心力など皆無に等しくなります。(補足参照)

また、「月の引力は地球の月側と反対側で強さが異なるから」とも言われますが、月と地球の距離からして、その違いは如何程のものでしょうか。直径1cmのパチンコ玉ならピンポン玉ほどの地球が1m強離れているのです。厳密には違いがあるとしても、いずれも月の方向へ引く力であり、大量の海水を反対方向へ押し上げる力とはなりません。

以上で、常識となっている説明が完全に成り立たなくなります。その上、さらに事実との矛盾があります。
満潮は地球の月側とその反対側で生じているのではありません。月とは直角方向の6時間ずれた位置に生じます。月のある方向とその反対側には干潮が生じているのです。

これほど事実と異なった常識がまかり通っているのはどうしてでしょうか。

補足: 遠心力=質量×半径×角速度の2乗
1秒間に約60度回転する時、角速度は1であり、その二乗を乗じても1倍です。従って質量x半径の値が遠心力です。しかし10秒かけて60度回転するならその値が1/100倍になります。100秒なら1/10000倍。地球の場合4時間で60度なので(4x60x60)の2乗分の1になり、赤道上でもわずかな値です。月の公転では(27x24x60x60)の2乗分の1になります。

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