2007年11月30日金曜日

輸血はどれほど安全かーその4

失血と輸血

人が血液を失って死亡するのは、体に必要な酸素が血液によって運ばれないからである。酸素を運搬しているのは血液中のヘモグロビンである。人が多量の血を失ってもヘモグロビンが全て無くなるわけではない。ヘモグロビンを運搬する血流が無くなるので、酸素が供給されなくなるのである。戦時中は負傷した兵士を救うために食塩水が用いられた。血流を確保すれば、ヘモグロビンの量が少なくても酸素の供給が行われるからである。では人が命を維持するためにどの程度のヘモグロビンが必要なのか。これについてははっきりしたことは理解されていないが、普通は血液100cc当り10g以上は必要とされている。しかし、一般的に輸血の基準とされている数値には科学的な根拠は無く、それよりずっと低い値でも命が保たれた事例は多く存在する。 特に麻酔などで睡眠状態にあるときはそれほど多くの酸素を必要としないようである。

長く保存された血液の場合、そのヘモグロビンが酸素を運搬する働きを開始するのは少なくとも輸血後24時間経ってからであることも知られるようになった。従って、手術中の輸血は単に患者の血液を増量させて、患者のヘモグロビンを送り出しているに過ぎないことになる。そうであれば生理食塩水などの血液増量剤のほうが遥かに安全であるということになる。

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